「約束を果たす」

2018年6月27日

Column『道経筆録』 2018年6月号
「約束を果たす」       WL代表 江口歳春

毎月本社において、第4木曜日の18:30より1時間、社員の任意参加による「心の勉強会」を開催しております。平素より私がお世話になっている社外の先生を招き、その先生の進行により仕事業務に特化しない事例を交え、対人関係等をテーマとして、正しい「心のあり方」を肩を張らず、気負わない討議を開催しております。是非、皆さんも自己研鑽に努め参加されることをお勧めします。
今回は、その教材より心が温かくなるエッセイをご紹介します。

「約束は、必ず、果たさなければならない」
歴史家で有名なナピールが、ある日散策をしていると、路傍にみすぼらしい少女が陶器のカケラを持って泣いている。優しく訳を尋ねると、少女の家は親1人子1人。親が大病なので、家主から1リットル入りのビンを借りて牛乳を買いに行こうとしたところ、落として割ってしまったのだという。家主にどんなに叱られることかと泣いていたのである。哀れに思ったナピールは、ポケットから財布を出してみたものの貧乏学者、1文の持ち合わせもない。そこで「明日のこの時間にここへおいで。牛乳ビンのお金は私が払ってあげるから。」と約束をし、少女と固く握手をして別れた。

ところが翌日、友人から「君の研究の後援者になろうという富豪が現れたから、直ちに来い。午後には帰ると言っているから。」という至急の伝言を受けた。しかし、富豪に会いに行けば、少女との約束を破らねばならぬ。ナピールは早速、友人にこのように返答をした。「私には今日、大事な用事がある。誠に申し訳ないが、またの日に頼む。」と。そして彼は少女との約束を果たした。
一方富豪は、ナピールを思い上がった奴だと一時は怒ったが、後日理由を知ると一層信用を深め、彼を強く後援した。

金持ちほど怒りっぽく、扱いにくいものはない。いつもお金で何事も自由にできると思っている。また、お金で約束を破る金銭奴隷がいかに多いことか。
「儲け」の「儲」は、「信用のある者へ」と書いてある。例え自分に不利益なことでも、誓ったことは必ず果たすのが信用の基である。
果たせぬ約束は初めからしないこと。相手に迷惑を掛けるだけでなく、己をも傷つける。皆さんも「約束は必ず果たす」ということを常に心掛けて頂きたいと思います。


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